科学

文学

朝井リョウの当事者から逃れられないこと

【『週刊文春』2026年8月27日号「当事者として書くということ」】 私自身の10代を振り返ると、なんだかなあと思ってしまう事柄がいくつも思い出される。全般として、なんの脈略もなくゆるゆるとした学生生活を送ってしまったために、何かしらの“当...
文学

〈再録〉夢十夜―慥かな、とてつもなく慥かな

“夢”(ゆめ)という語には、ロマンチックな趣の想像とは裏腹に、恐怖体験を俄に想起させる二重の意味が隠されている。 考えてみれば私自身、“夢”という語を創作上、それこそ何度も使い回ししているが、過去においてはっきり国語辞典でこの“夢”という語...
文学

〈再録〉開高健『開口閉口』―アリ釣りとオスとメスの話

【開高健著【開口閉口】(新潮文庫)】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、ある山荘にこもった。夜な夜な、スコッチの後に、オールド・トム・ジンをベースにしたトム・コリンズのカクテルを一杯飲む。かけているレコー...
文学

朝井リョウの黒タイツおじさん遭遇記

最近、『週刊文春』(文藝春秋)を読んでいて思ったのだった。 〈あれ? あの広告がどこにも無い…〉。 それは、東京ノーストクリニックさんの“◯◯治療”広告であった。 以前は、《中高年も考えたい》などといったキャッチフレーズが私の脳裏にすっかり...
書籍

資生堂の『花椿』と手鏡

子どもは、刃物やガラス、鏡で遊ぶことを許されなかった。手を傷つけたりして、危ないから――。 遠い記憶の残影を想い出す。 私がまだ幼少で、保育所(市内の認可保育園)にいる時、やんちゃな男の子がはしゃぎすぎてしまって、ガラス戸に頭を突っ込み、大...
文学

江戸川乱歩の「鏡地獄」

【『江戸川乱歩傑作選』(新潮文庫)】 私は高校を卒業して19歳の頃に、新潮文庫の『江戸川乱歩傑作選』を買って読んでいる。 乱歩文学の妖しさについてはもはや述べるまでもない。しかしながらあの頃、そのうちの短編作品「鏡地獄」をしっかりと読んでい...
飲み物

〈再録〉『洋酒天国』のロックは飲まぬワインとマルゴの話

【『洋酒天国』第8号の表紙はお馴染み柳原良平】 1952年(昭和27年)4月28日にサンフランシスコ講和条約が公布。4年後の1956年(昭和31年)の経済白書には、「もはや戦後ではない」という文言が明記され、その年の流行語となった。そういう...
飲み物

〈再録〉『洋酒天国』と英国万歳

【『洋酒天国』第14号】 マイ・フェイバリット・コレクション『洋酒天国』のブログ登場もこれまでで35冊を数えた。『洋酒天国』はたいへん古い書物であり、ファンもそれなりに多いこともあって、集めるのには苦労する。我ながらよくぞここまで蒐集したも...
文学

〈再録〉「ささやかな時計の死」に関するささやかな雑感

またもや“時計”にまつわる話である(当ブログ「〈再録〉パタパタ電波時計と学習教材のこと」参照)。【高校国語教科書の中の「ささやかな時計の死」】 2005年発行の高校国語教科書『新現代文』(筑摩書房)に村上春樹氏のエッセイが扱われている。「さ...
科学

〈再録〉パタパタ電波時計と学習教材のこと

【黄金に輝くパタパタ電波時計】 学研『大人の科学マガジン』はたびたび購入して電子工作を楽しんでいる。趣旨としては実用的なものを拵えるのではなく、ほとんど工作と実験のためのものが多いが、かつて“○年の科学”雑誌を購読していた理系好き世代には、...