新潮社

性教育

朝井リョウの見据える“中年の危機”

【『週刊文春』2026年10月15日号「“中年の危機”の照らし方」】 朝井リョウさんの書籍広告絡みで、《中高年も考えたい》というキャッチフレーズの“◯◯治療”広告――云々で私が図に乗ったのは、今年8月のことである(「朝井リョウの黒タイツおじ...
文学

漱石『夢十夜』―黒い波におちていく

【夏目漱石著『文鳥・夢十夜』(新潮文庫)】 “十年ひと昔”というけれど、10年前に夏目漱石の小説を読んだきり、それ以来すっかり漱石本から離れていたように思う。本当に漱石の小説は読まなくなっていた。 たぶん最後に読んだのは、『夢十夜』であろう...
飲み物

〈再録〉強精カクテルいろいろ『洋酒天国』

【『洋酒天国』第11号】 今年3月2日付の「ごきげんよう『洋酒天国』」を機に、私は一切合切、自身のヨーテン・ライブラリー数十冊を古書店に擲ってしまった。書棚に大きな隙間ができた。これできれいさっぱり、ヨーテンを忘れ去ろうという気でいた。昭和...
文学

開高健『開口閉口』―俗語的俗語の話

【開高健著『開口閉口』(新潮文庫)】 私が敬愛する作家・開高健氏の書き物で夢中になったのは、小説よりもエッセイ(随筆)のほうで、記憶をたどれば、珠玉のエッセイ集の『開口閉口』(新潮文庫)だったはずである。 初めて読んだ時は、ベトナムの記述が...
文学

朝井リョウの当事者から逃れられないこと

【『週刊文春』2026年8月27日号「当事者として書くということ」】 私自身の10代を振り返ると、なんだかなあと思ってしまう事柄がいくつも思い出される。全般として、なんの脈略もなくゆるゆるとした学生生活を送ってしまったために、何かしらの“当...
文学

〈再録〉開高健『開口閉口』―やらされることの美学〈1〉

【清らかな自然に囲まれた山荘より】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、山荘にこもった。 夜な夜な、名前のよく知らない銘柄のスコッチを一杯飲む。すると、じんわりとした温かさが体を包み込んで、疲労感が一気に抜...
文学

〈再録〉開高健『開口閉口』―アリ釣りとオスとメスの話

【開高健著【開口閉口】(新潮文庫)】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、ある山荘にこもった。夜な夜な、スコッチの後に、オールド・トム・ジンをベースにしたトム・コリンズのカクテルを一杯飲む。かけているレコー...
文学

〈再録〉漱石『こころ』の身体性について

【夏目漱石『こころ』】 夏目漱石の小説を読み終えると、いつも雑駁とした気持ちに駆られる。様々な思念が頭をよぎりすぎて、判別しがたい感情の複雑な振幅にしばしの眩暈を覚える。 最初の眩暈こそ、高校時代に読んだ漱石の『こゝろ』(以下『こころ』)で...
文学

〈再録〉サネアツの『友情』

【武者小路実篤『友情・愛と死』角川文庫】 先月末、朝日新聞の記事を読んで武者小路実篤の『友情』をふと思い出した。あまりに長らく忘れ去っていた小説を思い出した、という感がある。武者小路実篤『友情』――。 その新聞記事は、「文豪の朗読」を聴くと...
文学

江戸川乱歩の「鏡地獄」

【『江戸川乱歩傑作選』(新潮文庫)】 私は高校を卒業して19歳の頃に、新潮文庫の『江戸川乱歩傑作選』を買って読んでいる。 乱歩文学の妖しさについてはもはや述べるまでもない。しかしながらあの頃、そのうちの短編作品「鏡地獄」をしっかりと読んでい...