筑摩書房

文学

〈再録〉リルケの駆け落ち話

【またもや登場の高校国語教科書『新現代文』】 馴染みの薄い作家を読むと、ゾクゾクとするものを感じる。 この場合の馴染みが薄いとは、存在を知っていながらもわざと遠慮して、理解を恐れ読まずにいた、という意である。 以前ここで書いたことのある梶井...
映画

〈再録〉ニコラス・レイあちらこちら

【何度でも登場しますが、これが伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』です】 興奮冷めやらぬまま――。 アメリカ大統領選でトランプ氏が返り咲いた一報が届いたが、そんなことで私が興奮していたのではない。 しかと心得て遠距離恋愛を構えるのなら、人生の全...
文学

〈再録〉A子と教科書と魯迅

【魯迅を読むために開いた光村図書の国語教科書】 近頃、魯迅を読み始めていて、自宅の書棚にあった古い国語教科書に手が伸びた。 その所作は我ながら電光石火の如きであった。この国語教科書に、魯迅の作品がもしかしてあるのではないかというのは、なんと...
文学

〈再録〉教科書の中の高村光太郎

【高校3年時の国語教科書は筑摩書房だった】 音楽における創作活動のうち、【作詞】という分業は、私にとって切実な命題となっている。 あるリズムを伴ったメロディに、言語を織り込んでゆく作業。言語の一片一片の音の形(音韻)、語彙、意味からくるイメ...
文学

虎になるということ

【『小説すばる』2024年9月号で『山月記』を久しぶりに思い出した】 李徴(りちょう)は虎(トラ)になった。その変身の悲劇に何たることかと巻き込まれていったのが、友人の袁傪(えんさん)。李徴は袁傪に、自分は死んだ――と妻子に伝えてほしいと懇...
文学

岸本佐知子さんの捨てられない話

作家と読者の衝突というのは、常につきものである。 読者が小説を読み、この本は退屈だ、セックスばかり――と抜かして落胆するが、作家からすれば、普段私たちの日常こそ平凡を装った、どきついバイオレンスの連続ではないか――と反論したくもなる。地上の...
文学

岸本佐知子さんの虫が知らせる工作員

ごく最近、ジョン・アーヴィング(John Irving)の『ホテル・ニューハンプシャー』(“The Hotel New Hampshire”)と『サーカスの息子』(“A Son of the Circus”)の文庫本を買った。『サーカスの息...
食べ物

岸本佐知子さんの食べるもの捨てるもの

【筑摩書房のPR誌『ちくま』から岸本佐知子さんの「ネにもつタイプ」】 もはや、精緻な器官による皮膚感覚というべきものに、身悶えしてしまう――。 食べるもの、すなわち口に入れていただくものへの感謝の念がこもっていて、その食材の細部にこだわり、...
文学

岸本佐知子さんの注文の多い料理店

【『ちくま』の好評連載。岸本佐知子さんの「ネにもつタイプ」】 前回、ホチキスの話で反響を呼んだ(?)岸本佐知子さんの「ネにもつタイプ」。PR誌『ちくま』(筑摩書房)の連載コラムであるが、今回もお調子よく紹介する。 『ちくま』2025年8月号...
スポーツ

岸本佐知子さんのホチキスの話

【岸本佐知子さんの「吹雪」】 翻訳家でエッセイストの岸本佐知子さん。PR誌『ちくま』(筑摩書房)で連載しているコラム「ネにもつタイプ」が怪しいくらいに面白いので紹介し続けている。前回はことばの死語の話だった。ことばにも死後――死語によって漂...