筑摩書房

文学

〈再録〉唐木順三の「時代相と青年の夢」

【筑摩書房『唐木順三全集』第十二巻】 一つのつまらぬ行動から文学的体臭を嗅ぎ取るに至る偶然に出くわす。 あるスマホのアプリで、カメラで写した文書を画像に起こし、自動的にテクスト化してPDFにするという事務系のたいへん便利なものを試してみた。...
飲み物

〈再録〉三代目「二才の醸」の味わい

【青木酒造から蔵出しされた三代目「二才の醸」】 ここぞとばかりに日本酒を味わう――。20代の若者だけで造ったという珍しい酒がある。人肌恋しくなる甘さのベースが口に広がると共に、若々しい果実の、その鮮麗とした味と香りが、口腔から喉の底へと落ち...
文学

漱石『夢十夜』―黒い波におちていく

【夏目漱石著『文鳥・夢十夜』(新潮文庫)】 “十年ひと昔”というけれど、10年前に夏目漱石の小説を読んだきり、それ以来すっかり漱石本から離れていたように思う。本当に漱石の小説は読まなくなっていた。 たぶん最後に読んだのは、『夢十夜』であろう...
文学

朝井リョウの当事者から逃れられないこと

【『週刊文春』2026年8月27日号「当事者として書くということ」】 私自身の10代を振り返ると、なんだかなあと思ってしまう事柄がいくつも思い出される。全般として、なんの脈略もなくゆるゆるとした学生生活を送ってしまったために、何かしらの“当...
文学

〈再録〉開高健『開口閉口』―やらされることの美学〈1〉

【清らかな自然に囲まれた山荘より】 ――こんな夢を見た。 人権擁護の活動家である私は、都会の喧騒を離れて、山荘にこもった。 夜な夜な、名前のよく知らない銘柄のスコッチを一杯飲む。すると、じんわりとした温かさが体を包み込んで、疲労感が一気に抜...
文学

〈再録〉漱石『こころ』の身体性について

【夏目漱石『こころ』】 夏目漱石の小説を読み終えると、いつも雑駁とした気持ちに駆られる。様々な思念が頭をよぎりすぎて、判別しがたい感情の複雑な振幅にしばしの眩暈を覚える。 最初の眩暈こそ、高校時代に読んだ漱石の『こゝろ』(以下『こころ』)で...
文学

〈再録〉「ささやかな時計の死」に関するささやかな雑感

またもや“時計”にまつわる話である(当ブログ「〈再録〉パタパタ電波時計と学習教材のこと」参照)。【高校国語教科書の中の「ささやかな時計の死」】 2005年発行の高校国語教科書『新現代文』(筑摩書房)に村上春樹氏のエッセイが扱われている。「さ...
演劇

〈再録〉『洋酒天国』―ジャズと日劇〈2〉

【在りし日の日劇の姿。『洋酒天国』第58号より】 壽屋(現サントリーホールディングス)PR誌『洋酒天国』(洋酒天国社)第58号は、昭和38年7月発行。熱っぽくルイ・アームストロングのジャズの話で盛り上がった前回からの続き。 今回は日劇――。...
文学

〈再録〉リルケの駆け落ち話

【またもや登場の高校国語教科書『新現代文』】 馴染みの薄い作家を読むと、ゾクゾクとするものを感じる。 この場合の馴染みが薄いとは、存在を知っていながらもわざと遠慮して、理解を恐れ読まずにいた、という意である。 以前ここで書いたことのある梶井...
映画

〈再録〉ニコラス・レイあちらこちら

【何度でも登場しますが、これが伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』です】 興奮冷めやらぬまま――。 アメリカ大統領選でトランプ氏が返り咲いた一報が届いたが、そんなことで私が興奮していたのではない。 しかと心得て遠距離恋愛を構えるのなら、人生の全...