岩波書店

映画

〈再録〉秘密を抱えた『櫻の園』

【映画『櫻の園』(1990年)のビデオ版パッケージ】 先日、新聞にて、「第41回全国高校総合文化祭」(みやぎ総文2017=総文祭)で催された高校演劇の総評なるものを読んだ。普段、商業演劇しか観ない人にとっては、学生演劇というのはとかく鬼門と...
文学

〈再録〉殉教―その映像と文体

※以下は、拙著旧ホームページのテクスト再録([ウェブ茶房Utaro]2004年7月9日付「殉教―その映像と文体」より)。 三島由紀夫の作品に、『殉教』という短篇がある。昭和23年4月、「丹頂」に所収。三島は、この作品の自注に、〈詩人の殉教〉...
飲み物

〈再録〉三代目「二才の醸」の味わい

【青木酒造から蔵出しされた三代目「二才の醸」】 ここぞとばかりに日本酒を味わう――。20代の若者だけで造ったという珍しい酒がある。人肌恋しくなる甘さのベースが口に広がると共に、若々しい果実の、その鮮麗とした味と香りが、口腔から喉の底へと落ち...
文学

開高健『開口閉口』―俗語的俗語の話

【開高健著『開口閉口』(新潮文庫)】 私が敬愛する作家・開高健氏の書き物で夢中になったのは、小説よりもエッセイ(随筆)のほうで、記憶をたどれば、珠玉のエッセイ集の『開口閉口』(新潮文庫)だったはずである。 初めて読んだ時は、ベトナムの記述が...
文学

緑衣の青年―親密のエクリチュール

【部屋に置いてあったヘルムート・ニュートンのポラ写真】 うつろな目を見開いて、ぼんやりと視界に映り込んでいたのが、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)のポラ写真だった。 開いたままの写真集は、少し灰色に褪色していて、硬直した...
文学

遣らずの雨

【『小学国語 六㊤』(教育出版)】 工業高校時代のある「思い出」の光景で、その時盛んに降っていた「雨」をどう表現していいのかわからず、匙を投げた――ということがあった。その「思い出」は文章に書けなかったのだ。いくら表現しようとしても、ことば...
文学

〈再録〉不思議な少年の話

【大江健三郎著『親密な手紙』(岩波新書)】 本日が私にとっての“仕事納め”の日でした。この1週間近く、仕事に集中していたために、新聞のコラムすら読みのをためらうくらい、朝はせわしく、夜は疲労でぼんやりとしていました。 家の中の整理整頓――つ...
文学

〈再録〉漱石『こころ』の身体性について

【夏目漱石『こころ』】 夏目漱石の小説を読み終えると、いつも雑駁とした気持ちに駆られる。様々な思念が頭をよぎりすぎて、判別しがたい感情の複雑な振幅にしばしの眩暈を覚える。 最初の眩暈こそ、高校時代に読んだ漱石の『こゝろ』(以下『こころ』)で...
演劇

オトコクササはどこで消えていく?―髙木雄也さんから男性性を考える

【渋谷PARCO劇場にて3月に上演された『ジン・ロック・ライム』】 以前、宮藤官九郎さん演出の舞台の話をした。東京・渋谷PARCO劇場の「40周年記念公演」という括りに、個人的には感慨深いものがあった(「序章・永山絢斗」)。 最近のPARC...
文学

ありったけの文学散歩

【机に向かい、一冊の本を読み始める。本に向き合えるのは実にありがたいこと】 これはとりとめのない私の文学散歩である。あちらこちらに文学の話が飛ぶ。それにかまわず翼を付けて飛ばせてみた。チェーホフからフタバテイ 若い人が、アントン・チェーホフ...