1月1日の「青沼ペトロの年頭所感―[Utaro Notes]消えました」でお伝えしたとおり、Utaro名義の旧文藝ブログ[Utaro Notes]が消滅したことにより、個人的には過去の膨大なエッセイを抽出できなくなったことへの落胆が決して小さくない。むしろはっきりその代償は大きいと述べたほうが適切かもしれない。
しかしなんとか、善後策に奮闘したのである。
古いバックアップファイルが残っていた?
[Utaro Notes]は2012年に開設(※元はGoogleのBloggerで開設)しているが、それ以前に[Kotto Blog]と題してエッセイを配信していた経緯がある(2009~12年)。[Utaro Notes]はそこから移行した形で継続したのだった。
このことを思い出して、[Kotto Blog]のバックアップファイルが残っていることを確認。4年分のデータであるだけに、そのテクストの量も半端ではない。ブログの始まりはこうだった。
ブログ開始!
[Kotto Blog]バックアップデータより引用
2009年7月1日
インターネットをつなげて十数年の歳月。何度目かのウェブサイト&ブログ開設。
仕事の忙しさにかまけて、作成と更新が滞るたびにほとんどそれらを削除してきましたが、意外と無いと困るのがブログ。自分のやっていること、やろうとしていること、日々考えていること、そういったことを相手に知ってもらうコミュニケーションツールとして、自分にはどうしても必要なのだと実感しました。
なんとも堅苦しい挨拶になってしまいましたが、更新のペースを気にしない!ということをモットーに長く続けられたら、と考えています。
あくまで、プライベートなブログですが…。
そうして2012年、[Utaro Notes]に移行するために、[Kotto Blog]の更新休止を宣告するのである。
ブログ更新休止のお知らせ
[Kotto Blog]バックアップデータより引用
2012年1月3日
明けましておめでとうございます。
ブログにアクセスしていただいた方々に感謝いたします。皆様にとって今年1年がよりよい年となりますよう心よりお祝い申し上げます。
さて、いきなりというか突然なんですが、2009年7月から始めた当ブログ[Kotto Blog]は“今月いっぱい”を以て「更新休止」いたします。
今後は、自身の音楽制作活動に重点を置くため、新たなポータルサイトを立ち上げて、そこをホームページとさせていただきます(今月中に新しいURLをお知らせいたします)。
この[Kotto Blog]と[ウェブ茶房Utaro]は当面閉鎖せず、このままの形で残しますが、来月以降、更新はしません。ただし、ツイッターでの“@twittutaro”は継続します。今後はツイッターをブログ代わりに活用していきたいと思っています。
上文でツイッター(現X)をブログ代わりに――と記しているが、長文のポスティングは当然ながら無理なので諦め、Bloggerに移行したのだった。
[Kotto Blog]の休止を伝える直前の年末に、「ラムの酩酊とロウソクの火」というタイトルでエッセイを投稿していた。[Utaro Notes]で読んだ方もいるかもしれない。改めて以下に再録しておく。
〈再録〉「ラムの酩酊とロウソクの火」
ラムの酩酊とロウソクの火
2011年12月31日
大晦日とは言え、あと数時間で年を越してしまう今、今年を振り返っても仕方がないので、今年最後のブログは簡単に。
読み続けている『愛蘭土紀行』(I・II)。そして数日前に読み終えた箇所に戻り、再読する。
福原麟太郎がオスカー・ワイルドからチャールズ・ラムに傾斜したという箇所が濃い。
《文学には大なり小なりの酒精分が入っている。オスカー・ワイルドは強い酒だが、ラムは、水とまがうほどにしか酒精分は入っていない》(『愛蘭土紀行I』より引用)
ちなみに私は缶詰のコンビーフが大好物で、コンビーフ1缶あればご飯3杯はぺろりと食べられるほど。しかしながらこの話を友人に話すと、途端に嫌な顔をされるか、コンビーフなど食べたことがないと言われるかどちらかです。アイルランド系移民のアメリカ人が祝祭日にコンビーフとキャベツを使った料理を食べるらしく、そういう意味では自分にはアイルランドの血が混じっている、と法螺を吹きたくなります。
ラムの『エリア随筆』の「近代の女人崇敬」を読んでいて、岩波の復刻本のための旧字体と、ラムの苦み走った文体とが複雑に絡み合って読後的に酩酊、私はとてもこれが酒精分無しとは思えないのですが、酒の種類としては軽めのカクテルだとかビールといったものではなく、濁酒か芋焼酎のように粘着性がある感じ。しかし確かに、酔いとしては少なめなのかなとよく分からなくなってくる。

そこへ大晦日のテレビの歌番組から、還暦を過ぎた山本リンダ嬢がステージで踊りまくっている光景を見る。ラムが突然描き出した映像としか思えない。
《…老女性の尊厳な姿に対しては、吾々が祖母に対して示すよりも以上に丁寧に、譲歩して道の壁に接した内側の方を歩かせるのであった(よしそれが年寄りの乞食女であっても)。彼は当代の勇敢な武士であった。自分を擁護して呉れるべきカリドア又はトリスタンのない婦人達に対してのサア・カリドアであり、サア・トリスタンであった。既に萎んでから久しい薔薇も、その枯れた黄色の頬に於いて、彼の為にはなお花を咲かしているのであった》(ラム著『エリア随筆』より引用)
もはや今年1年を振り返る余地なし。
ロウソクに火を点け、鎮魂を祈る。不慮にしてあの世へわたった者も生きる者も、共に救われ、明日の安らぎを求めよう。死んだ者も明日がある、と思いたい。
震災でこれほど無力感に陥ったことはありませんでしたが、せめて私にもできることは、ロウソクの火を付けることぐらいだろうということで、来年へのブログへと繋げたいと思います。
本の備忘録
[Utaro Notes]の前身である[Kotto Blog]は、全ての投稿が移行されたわけではなかった。おそらく3割ほど、移行されなかったはずである。
その中に、買いたい本、又は買い求める書籍の“個人目録”を記した備忘録があった。いくつかを紹介して、この稿を終わりにする。
この夏に読みたい本
2011年7月3日
栞にして挟んでいたのは、岩波の『図書』6月号、“岩波ジュニア新書2011夏のフェア”で、本読み名人5人が薦めるジュニア新書が紹介されていました。入門書とも言えるこれらの書群の中で、私は3冊を選んで「この夏に読みたい本」備忘録とします。
- 吉田裕さん推薦 遅塚忠躬著『フランス革命―歴史における劇薬』
- 同氏推薦 阿部芳郎著『考古学の挑戦―地中に問いかける歴史学』
- 益川敏英さん推薦 嶺重慎・有本淳一編著『カラー版 天文学入門―星・銀河とわたしたち』
岩波単行本欲しい本備忘録
2010年10月22日
岩波書店のPR誌「図書」より、岩波単行本目録の中から、個人的に読みたい本を列挙(先日観る機会があった映画『東京裁判』に関連して)。
- 『軍部と民衆統合―日清戦争から満州事変期まで』(由井正臣著)
- 『辛亥革命と日本政治の変動』(櫻井良樹著)
- 『日露戦争 起源と開戦』[上・下](和田春樹著)
- 『伊藤博文の韓国併合構想と朝鮮社会―王権論の相克』(小川原宏幸著)
- 『戦間期の日ソ関係 1917-1937』(富田武著)
岩波文庫欲しい本備忘録
2010年7月27日
岩波書店のPR誌「図書」より、岩波文庫重版再開書目の中から、個人的に注目した本を列挙。
- 『ラッセル 教育論』(安藤貞雄訳)
- 『吉原徒然草』(上野洋三校注)
- 『艸木虫魚』(薄田泣菫著)
- 『新編 山と渓谷』(田部重治著/近藤信行編)
- 『踏査報告 窮乏の農村』(猪俣津南雄著)
INSCRIPTカタログより備忘録
2010年7月5日
数ヶ月前に港千尋写真集『文字の母たち』を購入して以来、すっかりINSCRIPT社が気に入りました。読み応えのある本ばかり。
以下はINSCRIPTカタログより、私の欲しい書籍の備忘録です。
- 『国民とは何か』(ルナン、フィヒテ、E・バリバール、J・ロマン、鵜飼哲/鵜飼哲、大西雅一郎、細見和之、上野成利訳)
- 『〈関係〉の詩学』(エドゥアール・グリッサン/管啓次郎訳)
- 『不和あるいは了解なき了解』(ジャック・ランシエール/松葉祥一、大森秀臣、藤江成夫訳)
- 『民主主義への憎悪』(ジャック・ランシエール/松葉祥一訳)
- 『エル・スール』(アデライダ・ガルシア=モラレス/野谷文昭、熊倉靖子訳)
- 『HIROSHIMA 1958』(エマニュエル・リヴァ写真/港千尋、マリー=クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセル編)
- 『小島一郎写真集成』(青森県立美術館監修)
吉川弘文館の新刊情報より備忘録
2010年7月2日
昨日自宅に届いた小冊子及パンフレット「吉川弘文館の新刊」より、欲しい書籍の備忘録。
- 『現代語訳 吾妻鏡』(五味文彦・本郷和人編 全16巻)
- 『明治維新と史科学』(明治維新史科学会編)
- 『飛鳥時代 倭から日本へ』(田村圓澄著)
- 『公家辞典』(橋本政宣編)
- 『近代日本社会と公娼制度』(小野沢あかね著)
- 『満州紳士録の研究』(小峰和夫著)
- 『江戸幕府大事典』(大石学編)
- 『細川家文書 中世編』(熊本大学文学部附属永青文庫研究センター編 続刊予定)
*
それから、大事なことを記しておく。2010~12年当時のホームページ[ウェブ茶房Utaro]のデータが残っていたので、思い切ってこの度、この古いホームページをそっくりアップすることにした。

実はその中のコーナーに、初期の[Utaro Notes]のタイトルがずらりと並んでいるのだ。もし参考にしていただけたら、と思う。(※旧ホームページなので、そこで展開している企画コーナーや動画、音楽などのファイルは残っておらず、またリンクも途切れてしまっているのが多いことを留意していただきたい)。
追記:ウェブの過去のキャッシュデータを抽出する方法として、Internet ArchiveのWayback Machine(https://archive.org/web/)というサイトを利用し、URLを入力すれば過去のデータを閲覧することが可能。この手段を用いて、消滅した[Utaro Notes]の投稿を復元し、再録する機会が今後あると思うので、あらかじめお伝えしておく。


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