〈再録〉クラブマガジンのこと

【クラブマガジンで初めて手にしたのが『standard jazz Vocal』のCDだった】

 今年の5月、ホームページ[ウェブ茶房Utaro]のエッセイで「クラブマガジン廃刊の考」を書きました。

 今日、株式会社ソニー・ミュージックダイレクトの『CDクラブマガジン』が届き、早速ページを開いていくと、マガジンの後方に「発行終了にあたって」という挨拶文が掲載されており、《紙》としてのクラブマガジンはこれが最後ということのようです。私事ながら長年このクラブマガジンを購読してきて、本当に音楽について大変勉強になり、また少しばかり教養が身についたのではないかと感じ、廃刊は非常に残念なのですが、これまでの発行に感謝したい気持ちです。

 もちろん、クラブマガジンを通じての思い出、というのも僅かにあります。

 1990年代の後半、自分にとって何もかもがうまくいかなかった頃。「クラブマガジン廃刊の考」でも触れたスザンナ・マッコークル(Susannah McCorkle)の「I CAN’T GIVE YOU ANYTHING BUT LOVE」という曲。これは私が幾夜、ほとんど徘徊に近い気持ちで街をさまよい、なんとなく口ずさんでいた懐かしい曲。

 ――数ヶ月前に高校時代の友人宅へ、ある事の相談をするために久しぶりに電話連絡をした。が、秀才として通っていた彼の口からは、申し訳ないがその相談には応じられないと断られた。そうして街をさまよっている時、偶然会社帰りの彼を目撃した。
 高校時代の秀才肌の面影はなく、ただぼんやりと帰途につこうとしている様子。明るさがまるでなかった。口ずさんでいた「I CAN’T GIVE YOU ANYTHING BUT LOVE」のせいもあってか、私は涙がこぼれてきた。その数年後、ニュースでスザンナ・マッコークルの自殺を知る――。

 ところで、話は変わりますが、今回の最終号では、『ムラヴィンスキー 東京公演名演集』(CD5枚セット)の紹介が掲載されていました。

 昨年の12月のブログ「大阪とリヒテルの謎にまつわる話」の中で触れた、エフゲニー・ムラヴィンスキー(Evgeny Mravinsky)の大阪万博(1970年)公演キャンセルの件が紹介文にも触れられていました。このCD5枚セットの5枚目が、そのスヴァトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)の代役として1973年に初来日を果たした、東京公演でのライヴ録音なのだと思います。因みに公演会場は上野の東京文化会館。

 ジャズであれクラシックであれ、私にとって音楽の空想の世界に入り込むことのできたクラブマガジン。今後はサイト上でのマガジン発行ありとのことで、まずは一旦、クラブマガジン運営スタッフの皆様に、長い間ご苦労様でした、と伝えたいのです。

(2011.10.24)

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